レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

一日一星 No.0001 「エル氏の最期」『悪魔のいる天国』

生まれ変わりを信じているエル氏は循環する時間を生きている。ロボット氏は直線の時間をタイムマシンで行ったり来たりしている。循環する時間を生きているエル氏が直線の時間に乗り換えたのは、循環する生に希望を見出だせなかったからか?
「タイムマシン」という発想は、直線の時間を前後に移動するイメージがあるが、循環する時間を移動するタイムマシンというのはあるだろうか?「まどかマギカ」のほむらや、アニメ「君の名は」等の時間ループはタイム「マシン」ではないが、循環する時間を移動するイメージだと思う。
エル氏の人生観(死生観)は、仏教のような輪廻転生から解脱したいというような生まれ変わりに対するネガティブなイメージは無いが、かといって希望に満ちたものでもない。次はもう少しましな人生を送りたいと思ってはいても、ましになる保証は無い。その辺が、エル氏が循環する死生観を手放した理由なのか?因みに、リーインカーネーション(Reincarnation)を「輪廻転生」と訳すのは適切なのだろうか?背後の価値観が違うような気がするが。
言葉遣いが、前半はエル氏がですます調でロボット氏がタメ口だが、ロボット氏がロボットであることがわかってから逆転する。立場はエル氏が連れていって貰う側なのだが、何で逆転したのだろうか?
この作品では主人公の名前が「エル氏」だが、「エヌ氏」と使い分けているのか特に意味は無いのかはわからなかった。