レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

一日一星 No.0063「窓」『宇宙のあいさつ』

一読して大貫妙子の「メトロポリタン美術館」を思い出した。メトロポリタンは絵、こちらはテレビの中に閉じ込められるのだが。
作中に「ブラウン管」という表現があるが、これはこのまま残るのだろうか?星氏は作品に普遍性を持たせるため、「電話のダイヤルを回す」を「電話をかける」に直したりしていたそうだが。
日本のSFはアメリカより10年程遅れて始まったため、ちょうどテレビの普及期と重なったらしい。星作品にはテレビがよく出てくるが、当時のニューメディアであるテレビの魅力や近未来感(お茶の間に現れたSFガジェット的違和感も含む)が、どの作品にも表れている。水木しげるの「テレビくん」も同時期の作品ではないだろうか。
作中に登場する悪魔(と人間が呼ぶこともある、何らかの役割を任された存在)が、自分は好きでこんなことをやっているのではなく、社会に必要だから存在しているのだと言う。つまり必要悪だ。反社会的勢力がなくならないのも、それがないと社会が回らないからなくならないのだろう。
主人公の女性はいきなり土台になる側にまわされてしまったが、この女性が栄光を浴びる座につく可能性はなかったのだろうか?一回くらいチャンスがあってもいいようなものだが。それとも、謎の放送を見た時点で土台要員認定されていたのだろうか。