レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

一日一星 No.0048「不景気」『宇宙のあいさつ』

悪くなることなど誰も望んでいないのに、何故か悪くなる景気。文明が成熟すると、購買意欲が飽和状態になり、経済が頭打ちになるのか。
「わたしだって、同じ本を二冊は買う気になれませんからね」とエス博士は言うが、オタクだったら同じ本を実用、保存用、布教用の三冊買う。オタクがマイノリティーからそこそこメジャーな位置まで存在感を高めてきたのは、この旺盛な購買力のためだろう。というか、それ以外の消費があまりに振るわないため相対的に目立ってしまったのかも知れないが。
「むだこそ文明の本質だよ。」「長生きなども最大のむだ」とアール氏は言う。そうなると、生まれてくることもむだなのではないだろうか?逆にむだでないものはなんなのだろうか?
この作品世界は活気に満ちたものになりそうだが、数倍になった購買意欲もいずれは頭打ちになり、経済が停滞しそうな感じでもある。そうなった場合、更に強力なカンフル剤を打って延命するのか、徐々に先細りになる未来を受け入れるのか、あるいは別な道を探すのか、現代社会が直面している問題と重なっているように思う。