レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

一日一星 No.0045「プレゼント」『ボッコちゃん』

送り主の意図とは違う反応が起きてしまったが、結果的に目的は達成したという話。「終わり良ければ全てよし」「結果オーライ」ということだが、これでうまく行くと勘違いしてしまったら、同じ状況が発生したときに同じ対応をとってしまい、思わぬ展開になる…

一日一星 No.0044「被害」『ボッコちゃん』

金回りが良くなったのは何かを得たからだという思い込みから強盗に入り、貧乏神を背負い込んでしまった話。普通、先入観や思い込みは排除して物事を考えるべきだと思いがちだが、科学の実験で行う手順の「仮説、実験、考察」の流れで言うと、先入観や思い込…

一日一星 No.0043「対策」『宇宙のあいさつ』

星新一の作品で、女性が主人公の作品は、あるにはあるがそんなに多くないと思う。「ボッコちゃん」「殺し屋ですのよ」「小さくて大きな事故」…と挙げてみたが、主要登場人物ではあっても主役かどうかは微妙な作品もあるかも知れない。女性で「N氏」のような…

一日一星 No.0042「気まぐれな星」『宇宙のあいさつ』

星新一の作品に出てくる宇宙は「暗黒」で、「星が凍りついている」という描写がしばしば出てくる。一昔前の宇宙は紺色や暗い青で、星が瞬いていた。これはおそらく地球から見上げた夜空をイメージしているから青っぽく見え、大気を通して見るから瞬いて見え…

一日一星 No.0041「ジャックと豆の木」『宇宙のあいさつ』

「ジャックと豆の木」、有名な話だが、どんなストーリーだったか覚えていない。天まで届く豆の木を登っていくシーンだけは頭に浮かぶのだが…。 パーラ星人は、ジャックを地上に帰してやるし、お土産に鳥までくれる良い奴。ジャックはしょうもない奴だが、少…

一日一星 No.0040「危機」『宇宙のあいさつ』

危機というのは未然に防いでしまうと、助けてもらってもありがたみが感じられない。それどころか、危機に瀕していたことも気づかないまま、代わり映えの無い日常として過ぎ去ってしまう。「鼓腹撃壌」という言葉があるが、「帝力何ぞ我に有らんや。」と言っ…

一日一星 No.0039「小さくて大きな事故」『宇宙のあいさつ』

小さなことから完全犯罪が崩壊する話はしばしば見るが、小さな事故で完全犯罪が成立してしまう話は初めて読んだ。「頭は少し弱いが正直な男」の動向によってはこの完全犯罪も危うくなりそうだが、この作品ではそこまでの展開は書かれていない。 このタカリ男…

一日一星 No.0038「貴重な研究」『宇宙のあいさつ』

科学的なような幻想的なような話。 不老不死の話は少なからずあるが、昆虫の変態をモデルにした不老不死の話は初めて読んだ。私が知らないだけで他にもあるのかも知れないが。昆虫がイモムシ➡️サナギ➡️成虫に変態するのはほとんど別の生物になるくらいの変化…

一日一星 No.0037「願望」『宇宙のあいさつ』

願い事を叶える系の作品。このタイプの作品の叶えてやる側は何が多いのか?悪魔が多そうだが、天使とか妖精とかもありそうだ。この作品では狐だが。 これと似た作品に「質問と指示」がある。 「もういい。どこかへ行ってしまってくれ」という指示に従って、…

一日一星 No.0036「宇宙のあいさつ」『宇宙のあいさつ』

作品の内容とは関係ないが、「あざやかな赤い色のボタンが、軽く押された。」のような英文翻訳調の言い回しは、この作品が書かれた時は普通の表現だったのだろうか(普通の日本語の表現では「ボタンを押した」だと思う)?海外文学作品の影響だろうか?何故受…

一日一星 No.0035「タバコ」『宇宙のあいさつ』

ものすごく逆効果な禁煙法。作中では薬の作用を色盲で例えているが、感覚器(目)側ではなく脳の情報処理の過程でタバコに関する情報をマスキングしている感じがする。ケイ氏は前日薬を飲んだことを忘れているが、これは偶々なのか、これも薬の作用のひとつな…

一日一星 No.0034「適当な方法」『宇宙のあいさつ』

この青年は、均一で健全な社会に不満を持ち、不満感の解消を国家に要求しているが、管理社会に不満を持っている人間が国に面倒を見てもらおうという発想が既に管理社会にどっぷり浸かっている人間の発想ではないかと思う。 医師の治療によりこの青年は社会に…

一日一星 No.0033「事実」『かぼちゃの馬車』

事実であることを証明するためには、リスクを引き受ける必要がある。相手が吸血鬼だった場合、そうでなかった場合、それぞれ自分が吸血鬼になったり、殺人犯になったりする可能性がある。相手に何かを働きかけるとき、働きかける方は第三者ではなく、当事者…

一日一星 No.0032「交代制」『かぼちゃの馬車』

「常識」(『かぼちゃの馬車』)と似た作品。「常識」はドッペルゲンガーが7人出てきたが、「交代制」は3人目に仲裁役が現れた(ただし体は3人で共用)。この仲裁役は薬の作用で発生したのだそうだが、この人格は複数に別れた人格をひとつに統合するために現れた…

一日一星 No.0031「治療後の経過」『かぼちゃの馬車』

iPS細胞を思わせる再生医療の話。 この話は「外見」(『かぼちゃの馬車』)と対になる話だと思う。「外見」の方は体が壊れてしまい、脳を機械の体に移植する。「治療後の経過」は無傷な体から頭を再生する。「外見」は見た目は以前と似ても似つかないが、人格…

一日一星 No.0030「新しい遊び」『かぼちゃの馬車』

ロボットを戦わせる競技なら、今でもロボ1がある。ただ、ルールがあるし、自動で戦うわけではなく人間が操作する。いずれはAI搭載のロボットが戦う時代が来るかも知れない。これからはAIとロボットの発達で人間の仕事が半分になると言われているが、次第にこ…

一日一星 No.0029「疑念」『かぼちゃの馬車』

疑念の原因が「運転していたのは、女性らしかった」だけでは漠然とし過ぎ。「同じように事故にあって死ぬかも」という落ちも、加害者を特に根拠もなくほかの女と仮定しているため、可能性が低過ぎると思う。単にこの男が心配性なだけなのではないか。

一日一星 No.0028「七人の犯罪者」『かぼちゃの馬車』

犯罪者を使って犯罪者を捕まえれば犯罪が減るかと思ったが、思わぬ展開になってしまった話。捕まえるより作った方が効率的という発想の転換がすごい。しかも主人公のエヌ氏がこういう状況に陥ってしまった原因も、特例猶予中の犯罪者の罠にはめられたのでは…

一日一星 No.0027「樹」『かぼちゃの馬車』

宇宙船内がひとつの生態系になっている。調和水槽のようだ。人間の排泄物が樹の栄養になり、樹の実が人間の食料になる。理想的な関係に見えるが、光合成のために原子力電池がいるので二人?で完結しているわけではない。開放定常系というのか。最後の方で普…

一日一星 No.0026「厳粛な儀式」『かぼちゃの馬車』

オオカミ少年みたいな話。出産にしろ結婚にしろ葬式にしろ、人生の節目にはまとまった金がかり、人も動く。そう何度もできることではない。これでは迷惑がられても仕方ない。 この回生薬は不老不死の薬というわけではないので、徐々に年老いながら死んだり生…