レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

一日一星 No.0036「宇宙のあいさつ」『宇宙のあいさつ』

作品の内容とは関係ないが、「あざやかな赤い色のボタンが、軽く押された。」のような英文翻訳調の言い回しは、この作品が書かれた時は普通の表現だったのだろうか(普通の日本語の表現では「ボタンを押した」だと思う)?海外文学作品の影響だろうか?何故受動態にしたのか?「乗組員は」といった主語(日本語にヨーロッパ語の文法でいう主語があるのかという議論もあるが)を使いたくなかったのか?星新一の作品には「エヌ氏」のような記号的な人名がよく出てくるが、そういう主語に対する独特な感覚(忌避感?抽象化性向?)があるような気がする。
この作品は何故「宇宙のあいさつ」というタイトルなのか。誰もあいさつしていないのだが。と思ったが、あいさつが「仕返し」という意味(「御礼参り」的な)なら納得できる。核ミサイルを打ち込んでおいて「いったい、なんで早く教えてくれなかったんだ。ひどいじゃないか」もないものだ。壮年期の地球人が、老獪な異星人に返り討ちにされたということなのだろう。