レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

一日一星 No.0069「泉」『宇宙のあいさつ』

この話、壁から生えた腕より夫婦の方が怖い。泥棒に怯えている割に腕に対しては冷静なところがシュール。腕の方も攻撃的な行動は取らず、されるがまま。しかし次第に話が血生臭くなっていく。この腕が一体何だったのか、最後までわからない。不思議なホラー小説だった。
この作品に出てくる「血液を買い入れる会社」というのは血液銀行だろうか?日本では1950年代から1960年代半ばまで血液を買い取る会社があったそうだが、売血し過ぎで体を壊す人が続出して有償採血を禁止したらしい。星新一は作品の普遍性を保つためにできるだけ時事的な要素を作品から排除しているが、この場合は排除してしまうとストーリーが成り立たなくなるので入れざるを得なかったのだろう。