レトルト工房 ~錬金術師の仕事場~

個人サークル「レトルト工房」のブログです。現代科学の最後尾を独走中です。

一日一星 No.0016 「現在」『かぼちゃの馬車』

ポストアポカリプス物だが、普通に現状回復している(数千年かかっているが)。よくあるポストアポカリプス作品は、文明崩壊後の荒廃感を描くのが普通だが、そこをあっさり済ましてしまうスピード感がスゴい。文明崩壊の原因が、戦争や自然災害ではなくコンピ…

一日一星 No.0015 「虚像の姫」『かぼちゃの馬車』

人間にとって顔の良し悪しというのは重要なファクターだが、これは進化とか生存競争といった面でどんなメリットがあるのだろうか。目鼻立ちや顔色で心身の健康度を測っているということなのか?人種や年齢や群れの中での地位などもわかるかも知れない。しか…

一日一星 No.0014 「大洪水」『かぼちゃの馬車』

こういう思惑と逆パターンになる落ちの話が他にもあった気がする。貧乏神だか福の神だかが出てくる話だったが、タイトルが思い出せない。それ以外にもあったかも。 「ドラえもん」にも、のび太とドラえもんが箱舟を作る話があったが、これもタイトルが思い出…

一日一星 No.0013 「高度な文明」『かぼちゃの馬車』

文明が高度化すると技術はブラックボックス化し、スキルは細分化する。私もスマホが無ければちょっと難しめの漢字も書けなくなってしまっている。「超光速原理も、料理法も、工事用の光線銃の構造も」全部一人で説明しろという方が無理があるが、相手が宇宙…

一日一星 No.0012 「ナンバー・クラブ」『かぼちゃの馬車』

現代のSNS社会を先取りしたような話。だが、SNSでは「ギリシャ旅行」のようなキーワードからそれについて発言している人を検察するが、ナンバー・クラブでは先に話したい人がいて、その人と共通の話題を検索してくれる(単に私が知らないだけで、そういうサー…

一日一星 No.0011 「常識」『かぼちゃの馬車』

これは精神分裂で人格がどんどん増えていく話だが、医者は何故統合する核になる人格を、「常識的に」仕事をする人格にしたのだろうか。外部と繋がっているからだろうか?確かに、自己完結している人格よりも外部と関係している人格の方が、社会性がある分統…

一日一星 No.0010 「確認」『かぼちゃの馬車』

この話で使われている認証方法は、指紋、声、血液型と、どれも生体の情報を使用している。人を識別する時、私達は肉体的特徴の他に人格的特徴(その人らしさ)も考慮に入れるが、人格的特徴というのは機械的に識別しようとすると難しそうだ。人格というのはい…

一日一星 No.0009 「墓標」『かぼちゃの馬車』

埋葬装置をテレビで紹介するというよくわからないシチュエーションだが(しかも土葬)、現在(2020年)の新型コロナ禍では妙なリアリティーがある。感染拡大を抑えるために、埋葬はこんな機械にやらせた方がいいのではないか。もちろん非常ボタン付きで。

一日一星 No.0008 「大転換」『かぼちゃの馬車』

全国民がひょんなことから幽霊になったら実質無敵になってしまったという話だが、この思考実験で星新一は何を書きたかったのだろうか? ホッブスは『市民論』や『リバイアサン』で、自然状態では万人が万人と争わなくてはならず、そういうのはしんどいから社…

一日一星 No.0007 「外見」『かぼちゃの馬車』

読み終えて、最近新型コロナウイルスで話題になっているエクモ(人工心肺)を想起した。現在は体外に設置される大きな装置だが、将来小型化、高性能化して体内に装着できたらどうだろうか。心肺に持病を抱える高齢者などは取り替えを望むかも知れない。iPS細胞…

一日一星 No.0006 「ご要望」『かぼちゃの馬車』

物語の主人公は大衆の要望に従わなくてはならず、同じ事をしていると飽きられてしまう、というのは今で言うとエゴサーチしているYouTuberのようだ。人気商売は多かれ少なかれこんな感じなのだろう。人気商売でなくても人事評価で給与が決まるサラリーマンも…

みんみど2020 採取完了

ミドリムシプロジェクトの採取完了した。

一日一星 No.0005 「天国」『悪魔のいる天国』

一読して、似た話を思い出した。ドラえもんの「石ころ帽子」という話だ。周囲の人のウザい干渉に辟易したのび太がドラえもんにこぼすと、ドラえもんが石ころ帽子という帽子をくれる。それをかぶると路傍の石のように相手にされなくなる。最初は満足していた…

一日一星 No.0004 「相続」『悪魔のいる天国』

2020年現在からみると、これはスマホの資産形成アプリを思わせる(企業対象だとERPパッケージも)。資産形成アプリのAIを自分の志向に合わせて学習させ、それに遺産を託す。現実的には全ての意思決定をAIに任せるわけにはいかないだろうが、ある程度の発言権は…

一日一星 No.0003 「殉職」『悪魔のいる天国』

この幽霊会社というのは、会社というより復讐のための互助会という感じがする。しかし、復讐を成し遂げれば成仏できるわけではなく、人間に殺して貰わないと天国に行けないという仕組みは納得いかない。本作の主人公のような、恨む相手もいないまま幽霊にな…

一日一星 No.0002 「薄暗い星で」『悪魔のいる天国』

理詰めの展開で最後に落ちがあるという定番のショートショートとは別系統の叙情的短編。こういう系統の作品も星新一には少なからずある。 死という概念が無い存在の死。それがどんなものかは人間には想像できない。作中のロボットが、なぜ人間が死を恐れるの…

一日一星 No.0001 「エル氏の最期」『悪魔のいる天国』

生まれ変わりを信じているエル氏は循環する時間を生きている。ロボット氏は直線の時間をタイムマシンで行ったり来たりしている。循環する時間を生きているエル氏が直線の時間に乗り換えたのは、循環する生に希望を見出だせなかったからか? 「タイムマシン」…

一日一星 No.0000 星新一を読む。

「一日一星」では、ほぼ一日一話星新一の作品を読んで感想を書きます(土日祝日年末年始お盆体調不良時はお休みする予定)。順番は特に作品の発表順と関係なく、その時の気分で決まります。 ※ネタバレが含まれることがありますのでご注意下さい。2021年12月4日…

『悟浄出世』を読む。

「心を深く潜ませて自然をごらんなさい。雲、空、風、雪、うす碧い氷、紅藻の揺れ、夜水中でこまかくきらめく珪藻類の光、鸚鵡貝の螺旋、紫水晶の結晶、柘榴石の紅、螢石の青。なんと美しくそれらが自然の秘密を語っているように見えることでしょう。」「悟…